ダニング・クルーガー効果

つれづれなるままの覚書

死ぬ前にほんとうに走馬灯が流れるのであれば、きっとこの日を思い出す。

 

 

 

これ以上なくしあわせな日だった。

わたしの青春をぎゅぎゅっと詰め込んだような、そんな。

 

 

「ご飯に行きませんか」

2日前にふと思い立って仲良しのふぉろわ~に連絡をとった。

 

2日後のその日はわたしの人生で初めてのライブで、都会の方に出る用事があって。

始まるのは夕方からだったから、日中をどう過ごすか少し悩んでいた。

そういえばずいぶん前にお休みだって言ってた気がするな、ちょっと一緒にご飯でも食べたいなって、そう思ったのだ。

 

果たして彼女はお仕事がお休みで、その代わりに推し事があった。おしごと違い。

どうやらプレミア公開のYouTubeをリアルタイムで見守るらしい。

 

ただ、幸運なことに推し事はわたしと彼女が出会ったきっかけになったジャンルで。

急遽その鑑賞会に便乗させてもらうことにして、そうしてわたしはその日を推し事で埋め尽くすことに成功した。

 

 

会うのは4回目だったから前日の夜はいつもどおり緊張した。

どうにかこうにか合流して、わたしが食べたい!!!とねだった店に行く。

 

ガレット。久しぶりに食べたらとっても美味しかった。
(すっかりうれしくなって2週間後に同期とガレット屋さんに行くことになるのはまたべつの話)

 

思いのほかお昼に時間がかかったので、そのままの足でカラオケになだれ込む。

 

こんなにリラックスして見ていたのも公開カウントダウンが始まるまで

 

あの2時間半のことをここに書きつくすのは難しいのだけど、ほんとうにほんとうに素敵な時間だった。

仲良しと横並びで好きなコンテンツを見て、ずっと好きだった人の夢が叶った瞬間を一緒に見守るのがこんなに幸せなことだったなんて。

おうえんしててよかったなあって、本気でそう思った。

 

わたしも彼女もコンテンツそのものをめちゃくちゃ楽しんだし、最後はふつうに泣いちゃったし。

 

 

なんだかとってもおなかいっぱいになって、ぽわぽわして幸せで、もうこれでここ数か月でやだなあって思ったことはぜんぶ水に流せるな、なんて思って。

 

 

 

ただ、だ。

その時点では本題が終わってなかったんだ。ウケる。

そうだそういえばわたしはもともとライブを見に都会まで出てきたはずで、気づいたらなんかとんでもない幸福感につつまれて満足してて、でもまだメインディッシュは味わってなくて、いやすでにお腹いっぱいですが???ふつうに食べすぎでは?????

 

 

彼女とバイバイして、わたわたしながらライブ会場に向かう。

 

会場付近には同じライブを見に来たんだろうなあと思われる人がたくさんいて、勝手に親近感を覚えたりした。

ドリンクを買って、整理番号に従って会場に入る。

 

ステージってこんなに近いもんだっけ

 

整理番号で薄々察してたのだけど、まさかの前から4列目でふつうに動揺した。

生きて帰れるのかなって、わりと本気で思った。

だってすでに致死量の推し事は済んでいるのだ。これ以上は無理。

 

開演予定時間から遅れること2分、そわそわしまくっているとようやく主役が登場した。

写真動画含めて撮影OK、SNS掲載自由というなかなか奇異なライブだったのでここにも少しのしゃしんをば。

 

神々しい。演出含めてあまりに贅沢すぎる時間だった。

 

近いって!!

だから近すぎだってば!!!!!何回か目が合った。

 

すんごくぽわぽわしてしまって正直ぜんぜんよくわかっていないけど、今でも思い出せるとんでもない幸福感と、写真フォルダに残る写真と動画と、それから死にもの狂いで焼き付けた彼の姿と声と思想がまだわたしをざわつかせるから、きっとそれが彼が1時間半わたしたちに向き合って、わたしが彼を食い入るように見つめて、そうして同じ空間で過ごしたってことなんだと思う。

 

何かに縋るようにマイクにしがみついて声を絞り出して、次の瞬間にはステージ上で髪を振り乱して躍動する彼を見上げながらそっと祈りを捧げていた、そんな時間がそこにはあった。

彼がMCのときに紡ぐ想いのひとつひとつがなんだか痛くて、せつなくて、やるせなくて、でも心地よくて。

 

だからわたしは彼がすきなんだなって思えた。これから先もまだまだ彼についていくんだろうなって。

 

 

だからそう、きっとあの日わたしはとっても幸せだったんだと思う。

 

 

人生のハイライトみたいな日。

これからわたしはどれだけそんな日を数えていけるんだろうか。