ダニング・クルーガー効果

つれづれなるままの覚書

オタク所感

 

・深夜のオタクとの電話はセルフプロデュース論だとかアイドルとオタクの関係性だとかの話題が自然と上るので興味深い。最近仲良くしてもらっている子がすごく共感できる呟きをしているから、さぞ共感できるアイドル論をもっているのだろうと思いつつ話し込んでいたら、めちゃくちゃ解像度の高い真逆の思想を提示されてびっくりした。140字の範囲だと一致してると思ってたけど全然違って、だけどふたりとも視点が似ているから共感できるんだね、って。なんか良かった。

 

 

・彼女は「アイドルが好きで、そこに垣間見える人間らしさが好き」って話してくれた。わたしは「(不完全な)人間が(完璧な)アイドルであろうとするところが好き」って話した。正反対で笑っちゃった。大前提として、ふたりとも彼らの音楽が好き。

 

 

・わたしはアイドルを推すのが初めてで、むしろアイドル視することに苦言を呈されることもあるようなジャンルを好きになってきていて、逆に彼女は海外のアイドルをずっと推していたから本人そのものの理解がしたくてもそもそも言語が通じなくて、要するにきっとそういうことなんですね。

 

 

・アイドルが虚構であるという話も、その虚構がみせてくれる人間らしさも、その逆もまた全部偽りで、そんなことはとうの昔にわかっている。それを人は作品と呼ぶ。

 

 

・作品を生み出すためにはその作品(ないし登場人物)に持たせている思想そのものが作者の中に存在している必要があって、ゆえにいくら虚構であろうがその発想が出てくる時点でその人間まるごと好きになってしまうという話。そうである以上、作品と作者は不可分なのだと思う。もちろんそれらを切り離して捉えてほしいという思想があることも理解している。

 

 

・アイドルを生業とし、そのためのセルフプロデュースを行っている人間をみていると、一体彼らのゴールはどこにあるのだろうと思う。空しいだとかそういう話がしたいのではなくて、果たして何年後まで見据えているのだろうということ。わたしが好きなアーティストはこの前自分の作品について「5年前から連続した構想があって、5年間概ね変わらずその構想をなぞってきた」と話していた。彼個人の作品に比べるとアイドルが人気商売である以上彼らの為すことが流動的であることは避けられず、となると1年後どころか3か月後の自分が携わる作品が予測できないことすらあると思うけれど、彼らの精緻なプロデュースはどこまで見越した上でなされているのか純粋に興味がある。

 

 

・だれだって他者の前ではある程度のセルフプロデュースをしているものだと思うし、それを突き詰めたところに君臨しているのがアイドルなんだろうね。紛い物の輝きでもなんでも、輝けるならもうそれだけで十分だとわたしは思うよ。